書評──銀河鉄道の夜

宮沢賢治の逝去後、1934年に公開された長編童話。第1次稿から第4次稿まで7年ほど改稿が重ねられ、現在一般に知られるストーリーと最終稿は異なる場合がある。最大の違いはブルカニロ博士の存在で、第1次稿から第3次稿までは登場していたものの、第4次稿では彼のパートはすべてカットされた。

このブルカニロ博士は、ジョバンニに旅の秘密のいわば種明かしをする存在で、賢治がどのような意図をもってこの旅を描いていたのかを探る手がかりにはなる。だが、ファンタジーとして、そこは読者に委ねたほうが想像力の広がりが出ると判断したのだろう。この判断はおそらく、結果として正しかったのではないか。旅の理由がわからないという謎こそが、本作品が時を超え、読む者の心を捉えて離さない魅力の大きな部分を占めている。

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